中山道広重美術館 Hiroshige Museum of Art, Ena

過去の展覧会 2020年度

Past Exhibitions FY2020

春季特別企画展「江戸から東京へ」

前期:2020年4月2日(木)~5月10日(日)
後期:2020年5月14日(木)~6月14日(日)

 2020年度春季特別企画展では、「東京」という土地に焦点を当てた展覧会を開催します。
 慶長8年(1603)に幕府が開かれて以降、江戸は政治・経済の中心地として栄え、文化が花開きました。浮世絵が誕生したのも江戸時代です。江戸に生まれ、名所絵で人気を博した歌川広重も、同地を多彩な表現で描き出しました。晩年に手掛けた《名所江戸百景》では、約120もの場所を取り上げ、当時の江戸の様子をありありと伝えています。
 慶応4年(1868)、江戸は東京に改名され、同地は一層日本の中心としての役割を強めていきます。西洋文化が流入し景観が変化していく一方、古き良き江戸の風情も残されていました。井上安治の《東京真画名所図解》には、江戸から東京へと移り行く過渡期の様子が情緒豊かに描かれています。
 本展では、広重の《名所江戸百景》と共に、安治の《東京真画名所図解》など、東京を題材とした近代版画も併せてご覧いただきます。江戸から東京へ移り変わるさまを、浮世絵を通してお楽しみください。

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企画展「お江戸草花デザイン集」

2020年6月18日(木)~7月19日(日)7月5日(日)
※空調設備の工事のため、7月6日(月)から22日(水)まで臨時休館いたしました。

 新たな季節の訪れを知らせてくれる花たちは、古くから日本人の心を癒し、人々に愛好されてきました。平安時代に入り、花や鳥をモティーフとする「花鳥画」が中国から伝わると、もとより花への関心が高かった日本の人々に容易に受け入れられました。季節を象徴するもティーフである草花の瑞々しい姿と生命力は、絵画はもちろん衣装や生活用品など、さまざまな形で表現されました。
 本展では、新規収蔵となった歌川広重の「芙蓉」をはじめとした花鳥画や、三代歌川豊国との合筆による《当盛十花撰》のお披露目と共に、当館所蔵のドームのガラス工芸なども展示します。多彩に表現された草花の姿をご覧ください。

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企画展「お江戸人物スナップ集」

2020年7月23日(木・祝)~8月23日(日)

 着飾った女性を描いた美人画やはやりの役者を描いた役者絵は、浮世絵の変わらぬ人気ジャンルです。広重といえば街道や名所を描いた作品が有名ですが、彼もまた巧みな人物描写により、多くの魅力的な人物画を残しました。本展では、広重の描いた美人画のほか、風景画の絵師である広重らしい芝居絵や、風景画に見られるユニークな人物表現に焦点を当てます。

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特別展観「木曽海道六拾九次之内」

2020年8月27日(木)~10月4日(日)

 中山道広重美術館が世界に誇る《木曽海道六拾九次之内》を揃いでご覧いただく、年に一度の機会です。歌川広重と渓斎英泉、二人の絵師が中山道の各宿場を情感豊かに描き出しています。当館の要となる本揃物は、旧蔵者である故・田中春雄氏が長年にわたりこだわって収集したもので、まさに今摺られたような美しいものから摺り違い(色の異なる後摺り)、異版(初版と全く異なる図)といった貴重なものまで幅広く集められました。摺りの違いから生まれる浮世絵の面白さを感じていただくと共に、美しくも厳しい山々に囲まれた道を行き交う旅人たちの息遣いと、彼らの足取りと共に姿を変える叙情的な風景美をご堪能ください。

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秋季特別企画展「歌麿とその時代 黄金期の浮世絵 美人画と役者絵」

前期:2020年10月8日(木)~11月8日(日)
後期:2020年11月12日(木)~12月6日(日)

 江戸時代中期の浮世絵師で美人画の大家・喜多川歌麿。彼が活躍した時代は、浮世絵の黄金期と呼ばれています。本展では歌麿の他、彼と共に美人画の分野で活躍した鳥居清長や役者絵に長けた東洲斎写楽、勝川春章なども取り上げます。また、色鮮やかな肉筆画も含めた、黄金期の浮世絵名品を紹介します。

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企画展「二代広重-受け継がれた広重イズム-」

2020年12月10日(木)~2021年1月17日(日)

 初代広重の没後、門人たちがその名を襲名しましたが、師の画風を最も忠実に受け継いだのは、二代広重といえるでしょう。彼が作品を手掛けた時代は、まさに江戸と明治の狭間でした。移り変わる時代を生きた絵師・二代広重が受け継いだ広重イズムをご覧ください。

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企画展「五十三次名所図会」

2021年1月21日(木)~2月23日(火・祝)

 本展でご覧いただく《五十三次名所図会》は、安政2年(1855)に刊行された通称「竪絵東海道」といわれる55枚のシリーズです。広重が手掛けた大部の東海道の揃物の中で唯一画面を縦に使った作品で、俯瞰的な構図を多く用いています。また、故事や伝承なども画題として取り入れ、鑑賞者を飽きさせない工夫も見られます。本揃物は、まさに日本各地の名所旧跡を紹介した「名所図会」を思わせるシリーズです。
 広重は晩年、《六十余州名所図会》や《名所江戸百景》など、画面を縦に使った風景画を多く制作しました。一般的に、縦長の画面は風景画には不向きとされています。しかし広重は、縦構図の水平画角の狭さという弱点を、俯瞰構図や近像型構図(手前のモティーフを大きく描き、遠景を見通す構図)を用いて見事にカバーしました。年を重ねてなお新しい表現を模索した、広重晩年の大作をご覧ください。

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企画展「双筆五十三次-新規収蔵品お披露目-」

2021年2月27日(土)~3月28日(日)

 三代歌川豊国(歌川国貞)と歌川広重といえば、江戸時代後期~幕末期に活躍した浮世絵師の中でも、特に人気のあった絵師たちです。嘉永6年(1853)に刊行された番付には、同じく歌川派の国芳と共に「豊国にかほ、国芳むしゃ、広重めいしょ」とうたわれました。三代豊国、広重、国芳の3人は、弘化年間(1844-48)以降、しばしば共同で作品を制作、発表し、特に三代豊国と広重は数多くの合筆作品を残しています。今回ご覧いただく《双筆五十三次》は、前景の人物画を三代豊国が、背景のコマ絵を広重が担当しています。一人もしくは二人一組で描かれた人物の表情は皆生き生きとしており、また役者絵を得意とした三代豊国らしく、いくつかの図には役者似顔で描かれた人物も見られます。一方、広重の手になるコマ絵は、俯瞰構図を多く用いてあっさりと仕上げられており、前景の人物を邪魔しないための配慮がなされています。本揃物は、二人の絵師の特長を生かしながらも調和の取れた良品といえます。
 歌川派の絵師たちが一世を風靡した時代、中でも三代豊国と歌川広重という二大人気絵師による東海道シリーズは、さぞかし世間の人々を喜ばせたことでしょう。このたび当館初披露となる豪華コレボレーション作品を、皆さまもどうぞお楽しみください。

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