中山道広重美術館 Hiroshige Museum of Art, Ena

ぐるり上方名所めぐり

展覧会の詳細

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 上方とは、天皇(上)の住まう方角・地方のこと。主に京や大坂を始めとする五幾内(山城国、和泉国、河内国、摂津国、大和国)を指し、広義には播磨国、丹波国、近江国も含みます。
 徳川の世となり、政治の中心は京から江戸へと移ります。しかし、古の風流を残しながらも町人によって繁栄した京の都は、依然として文化や経済において大きな影響力を持ち続けました。大坂は、水運により全国の農産物や海産物、名産品が集う商業都市として大きく発展。旅への関心が高まった江戸中期以降、伊勢神宮から少し足を延ばせば立ち寄ることができる上方は、観光地としても人気を集めました。その活況は、名所や名物、名跡を豊富な挿絵で紹介した名所図会に取り上げられ、浮世絵版画にも描かれています。
 本展では、歌川広重の手になる「京都名所之内」や「浪花名所図会」、瀟湘(しょうしょう)八景になぞらえて設定された近江八景など、見どころ満載の上方名所をご紹介します。


会 期
2023年12月14日(木曜日)から2024年1月21日(日曜日)
休館日:2023年12月18日(月)、25日(月)~2024年1月1日(月)、
    3日(水)、9日(火)、15日(月)
場 所
展示室1(1階)
開館時間 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料 一般520円(420円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週水曜日はフリーウエンズデー(観覧無料)
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
▲2024年1月2日(火)はお正月特別開館(観覧無料)
関連イベント ■学芸員による作品ガイド
 日時:2024年1月14日(日) 午前10時30分~(30分程度)
 場所:展示室1(1階)
■美術館ボランティア幽遊会による概要説明
 日時:随時(要事前予約)


今月の陳列棚

企画展「ぐるり上方名所めぐり」より

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歌川広重「近江八景之内 石山秋月」

大判錦絵 天保5年(1834)頃 
中山道広重美術館蔵(田中コレクション)

 瀬田の唐橋や琵琶湖を望む、岩山中腹の石山寺を取り上げた1枚。全体的に色調が抑えられており、薄墨や藍のぼかしによって、月光に照らされた山肌や水面、しっとりとした空気感が巧みに表現されています。石山寺は、紫式部が当地から眺めた月の美しさに触発され、『源氏物語』を起筆したという伝説が残されています。広重は古くから愛されてきた情景を描き出しました。