中山道広重美術館 Hiroshige Museum of Art, Ena

うたう浮世絵

展覧会の詳細

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 浮世絵には、名所名物を描いたものや美人を描いたものの他にも、説話、物語、芝居などを題材にした作品が多くあります。絵師たちは物語や芝居からイメージを膨らませ、登場人物の動きを印象的な構図で切り取りました。そのような作品は多くの人々の目を引き付け、書見や観劇の感動を追体験させたものでした。本展で主に出陳する歌川国芳画「木曽街道六十九次之内」は、物語や芝居を題材にした場面と宿場名を言葉遊びでひも付ける揃物です。その関連性を考えながら、描かれる物語や芝居の名場面をお楽しみください。
 また、狂歌が記された作品もご紹介します。歌川広重が手掛けた東海道物の一つに「狂歌入東海道」と呼称される「東海道五拾三次」があります。各図に旅中の心境やその地にひも付けた狂歌が添えられ、歌の解釈と共に作品の理解を深める楽しみがあります。それぞれに浮世絵の中で語られた物語、詠われた歌を読み解いていきます。


会 期
2023年7月27日(木曜日)から8月27日(日曜日)
休館日:毎週月曜日(8月14日を除く)
場 所
展示室2(2階)
開館時間 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料 大人520円(420円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週水曜日はフリーウエンズデー(観覧無料)
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
関連イベント ■ミュージアムナイト ※夜間特別開館、終日観覧無料。詳しくはこちら
 日時:8月14日(月曜日) 午前9時30分~午後8時(入館は午後7時30分まで)
■夏休みイベント
 ①子ども特典
  会期中にご来館の18歳以下の方全員に“うたう”しおりをプレゼント。
 ②撮影スポット設置
  浮世絵(拡大図)を背景に自由に撮影できます。 
 ③「広重おじさんをさがせ!」
  展示作品の中に登場する「おじさん」を探してみましょう。
■学芸員による作品ガイド
 日時:2023年8月6日(日) 午前10時30分~(30分程度)
 場所:展示室2(2階)
■解説ボランティア幽遊会による作品ガイド
 日時:随時(要事前予約)


今月の陳列棚

企画展「うたう浮世絵」より

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歌川国芳「木曽街道六十九次之内 須原 業平 二条后」

大判錦絵 嘉永5年(1852)7月 当館蔵(田中コレクション)

 平安時代に成立した歌物語『伊勢物語』には、平安時代初期に実在した在原業平を思わせる男性が登場し、彼を取り巻く恋愛模様が描かれます。本物語の流布と共に物語中のさまざまな場面が絵画化され、各時代の人々に親しまれました。本図は「芥川の段」から、業平が二条后を背負い追手から逃れる場面が描かれます。どんよりとした空と二人の行く手を阻むように揺れるススキが、この後二人に訪れる悲運を暗示します。なお、木曽街道物である本図は、彼らが行くススキの原から須原宿を連想させています。