展覧会の詳細

江戸時代、浮世絵の主な画題といえば美人と役者、そして名所。中でも人気の歌舞伎役者が描かれた役者絵は、いわゆるブロマイドの役割を果たし、庶民の間でもてはやされました。元禄期(1688-1704)以降、浮世絵において美人画と並ぶ一大ジャンルとなった役者絵ですが、当初は類型化された表現が用いられ、役者一人一人が描き分けられることはほとんどありませんでした。しかし、明和年間(1764-72)に勝川春章(1726-92)、一筆斎文調(生没年不詳)という二人の絵師が役者の面貌を「似顔」で描くことを始め、また春章の弟子・勝川春好(1743-1812)は「役者大首絵」で役者絵の様式に新風をもたらしました。さらに、幕末の浮世絵界を席巻した歌川派の絵師たちは、似顔を基本としつつ理想的に美化された役者の姿を華やかに描き出し、多くの人々の心を掴みました。
本展では、当館所蔵の三代歌川豊国作品を中心に出陳し、皆さんもよくご存じの大名跡やおなじみの物語など、時代を越えて愛される歌舞伎の世界を分かりやすくご紹介します。
会 期 | 2023年3月2日(木曜日)から4月2日(日曜日) 休館日:毎週月曜日、3/22(水) |
場 所 | 展示室1(1階) |
開館時間 | 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで) |
観覧料 | 大人520円(420円) ※( )内は20名以上の団体料金 ▲18歳以下無料 ▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料 ▲毎週水曜日はフリーウエンズデー(観覧無料) ▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料) |
関連イベント | ■学芸員による作品ガイド 日時:2023年3月12日(日) 午前10時30分~(30分程度) 場所:展示室1(1階) ■中村いてうさんトークショー「中村いてうさんと楽しむ江戸の役者絵」 恵那市出身の歌舞伎役者・中村いてう氏をお招きし、展示作品を鑑賞しながら、 現代まで受け継がれる歌舞伎の魅力をお話しいただきます。 日時:2023年3月16日(木) 午後1時~2時(予定) 場所:展示室1(1階) ※要事前申し込み、応募者多数の場合は抽選となります。詳しくはこちら ※上記の時間帯は展示室が貸し切りとなり、イベント参加者以外はご入室いただけません。 何卒ご理解、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。 ■解説ボランティア幽遊会による作品ガイド 日時:随時(要事前予約) |
今月の陳列棚
企画展「江戸粋戯場伊呂波」より

三代歌川豊国「木曽六十九駅 東都日本橋 御祭ノ踊 時致」
大判錦絵 嘉永5年(1852)10月 当館蔵
「曽我兄弟の仇討ち」でおなじみの曽我兄弟の弟・曽我五郎時致を演じるのは、七代目市川團十郎です。息子である六代目市川海老蔵が八代目團十郎を襲名する際、市川宗家のお家芸として「歌舞伎狂言組十八番(歌舞伎十八番)」を選定したことでも知られています。役者絵に描かれる七代目は、迫力のある大きな目と力強い口元が特徴です。市川家得意の荒事で本領を発揮した他、実悪や色悪などもよくこなしました。