中山道広重美術館 Hiroshige Museum of Art, Ena

浮世絵DESIGN

展覧会の詳細

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 粋で新しいもの好きな江戸っ子たち。庶民を中心に流通した浮世絵にも、彼らの関心を引き付ける斬新なアイデアが求められました。名所のように繰り返し描かれた画題であっても、アングルを変えたり、人物画と組み合わせたり、一つの画面に複数図をレイアウトしたりと、形式や構成に一ひねりを加えることで、オリジナリティのある目新しい作品へと昇華させたのです。
 また、浮世絵のシリーズ物は、完結後、画帖形式にまとめられて販売されることもありました。画帖に収める画題目録を手掛けたのは、梅素亭玄魚といった意匠家たち。各画題の文字表記を中心とした図案は、作品情報を伝えるだけでなく、人々の目を大いに楽しませました。
 こうした、庶民の購買意欲をかき立てる作品には、絵師たちの細部にわたる創意工夫の跡が認められます。思わず手に取りたくなるような、デザイン性豊かな浮世絵の世界をお楽しみください。


会 期
2022年6月23日(木曜日)から7月24日(日曜日)
休館日:毎週月曜日(ただし7月18日は除く)、祝日の翌日(7月19日)
場 所
展示室1(1階)
開館時間 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料 大人520円(420円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週水曜日はフリーウエンズデー(観覧無料)
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
関連イベント 学芸員による作品ガイド
7月3日(日曜日)
午前10時30分から30分程度(予定)


今月の陳列棚

企画展「浮世絵DESIGN」より

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歌川広重「(国尽張交図会) 北陸道七ヶ国 若狭 能登 越前 加賀」

大判錦絵 嘉永5年(1852)12月 当館蔵(田中コレクション)

 大小異なる形をした画面枠に、日本各地を象徴する名勝や名物、物語の場面などを収めたシリーズ。本図の中央には、画題「北陸七ヶ国」が石摺風に白抜き文字で記されています。右上「若狭」は当地の名産品である干しカレイ、左上「越前」は磯でウニ取りをする親子の姿を取り上げています。左下「加賀」は、安宅関にちなみ、偽の勧進帳を読み上げる武蔵坊弁慶です。右下「能登」には、日和山を望む九十九湾の佳景が広がっています。「能登」を枠取るハート形は、「猪目(いのめ)」と呼ばれる日本古来の文様。他4図では角形の枠を用いていることもあり、丸みを帯びた形状が印象的な構成です。