展覧会の詳細

浮世絵の黄金期といわれる時代を経た後の19世紀は、葛飾北斎や菊川英山、渓斎英泉など個性豊かな絵師たちが活躍した、いわば浮世絵熟爛の時代です。しかし、当時の画壇を席巻したのは、歌川豊春を祖とする歌川派の絵師たちでした。
常に新しいもの、面白いものを追求し、公権力に対する反骨精神を忘れなかった国芳。自然や人々の営みに寄り添い、風景画や花鳥画を浮世絵の一大ジャンルとして確立させた広重。人々の興味関心に対して常にアンテナを張り、江戸っ子に喜ばれる作品を生み出し続けた三代豊国。江戸時代後期の浮世絵界をけん引した彼らは、同じ流派に属する同志であり、人気を争うライバルでもありました。
さて、当時「豊国にかほ(似顔) 国芳むしや(武者) 広重めいしよ(名所)」とうたわれた3人は、それぞれの得意分野で木曽街道(中山道)をテーマとした揃物を手掛けています。当館では2018年に三代豊国「木曽六十九駅」を新規収蔵。広重・英泉「木曽海道六拾九次之内」、国芳「木曽街道六十九次之内」と合わせ、3種の木曽街道シリーズが揃いました。
2021年9月、中山道広重美術館は開館20周年を迎えます。今年の秋は「中山道」を冠する当館で、歌川派の人気絵師3人の手になる木曽街道作品の豪華揃い踏みをぜひお楽しみください。
【出品目録】※すべてPDF形式
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会 期 | 【臨時休館のお知らせ】 岐阜県下における緊急事態宣言の発令により、8月23日(木曜日)から9月30日(金)の期間中、 臨時休館いたします。それに伴い、本展の会期は下記のように変更となります。 2021年10月1日(金曜日)から12月5日(日曜日)まで(予定) 前期: 2021年10月1日(金曜日)から10月31日(日曜日) 中期: 2021年11月3日(水曜日・祝日)から12月5日(日曜日) 後期: 2021年12月9日(木曜日)から2022年1月16日(日曜日) 休館日:毎週月曜日(ただし1月10日は除く)、11月4・24日、12月28から1月1日・3日・11日 |
場 所 | 展示室1、2(1、2階) |
開館時間 | 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで) |
観覧料 | 大人820円(660円) ※( )内は20名以上の団体料金 ▲18歳以下無料 ▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料 ▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料) 【お得なセット割…大人1,500円】 前・中・後期を各1回ずつ観覧できます。来館時に受付でチケットをお買い求めください。 【リピーター割】 上記展覧会期間中に限り、半券提示で2回目以降は団体料金でご覧いただけます。 受付で半券をご提示ください。 |
関連イベント | 学芸員による作品ガイド 前期…10月3日(日曜日) 中期…11月7日(日曜日) 後期…12月12日(日曜日) 各日午前10時30分から40分程度(予定) |
今月の陳列棚
開館20周年記念秋季特別企画展「浮世絵木曽街道三種揃踏」より

歌川広重「木曽海道六拾九次之内 軽井沢」
大判錦絵 天保6~7年(1835-36)頃ヵ 当館蔵(田中コレクション)
軽井沢が避暑地として知られるようになるのは明治以降のことで、江戸時代当時は雑穀物を主産とし、宿泊業を生計の中心としていた寒村でした。月明かりもない夜闇に沈んだ宿場外れで、男性たちが一服しています。馬上の旅人と馬子が器用に火を分け合う様子を、小田原提灯の明かりが浮かび上がらせます。提灯に書かれた「いせ利」は、版元の伊勢屋利兵衛を示している。その傍らでは煙草入れを腰に差した旅人がかがみ、たき火から煙管に火をつけようとしています。