展覧会の詳細
「名所江戸百景」は、初代広重の手になる118図に図案家・梅素亭玄魚の目録、そして二代広重の落款のある1図を合わせた計120図の、広重畢生の大作です。タイトルが「百景」となっているのは、当初は百図で完結するはずだったものが、売れ行き好調につき予定を超えて制作を続けることになったから、と一般的には考えられています。
一般的に江戸名所絵は、仕事や観光で江戸を訪れた人々にとって土産物の役割を果たしたといわれています。しかし、「名所江戸百景」の中には、一般的に江戸の名所とはいえないような場所を描いた作品がいくつもあります。これらの場所は、広重と同じく江戸に暮らす人々が楽しみ、共感することのできる「隠れた名所」でした。「名所江戸百景」は、江戸っ子のための江戸名所絵と見ることもできるのです。
本展では、生粋の江戸っ子絵師・広重描く華やかなりし江戸名所の数々を、四季折々の風景と共に見ていきます。
会期 | 2021年7月22日(木曜・祝日)から8月22日(日曜日) 休館日:毎週月曜日(8月9日は除く)、8月10日 |
場所 | 展示室1(1階) |
開館時間 | 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで) |
観覧料 | 大人520円(420円) ※( )内は20名以上の団体料金 ▲18歳以下無料 ▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料 ▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料) |
関連イベント | 学芸員による作品ガイド 日時:2021年8月1日(日曜日) 場所:展示室1 |
今月の陳列棚
企画展「華の都 江戸-名所江戸百景名品選-」より
歌川広重「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」
大判錦絵 安政4年(1857)閏5月 当館蔵
翼を広げた大鷲が、十万坪と呼ばれた広大な埋め立て地を見下ろしています。名所絵で洲崎を主題とする際は、日の出や潮干狩りを描くのが一般的です。しかし、本図に描かれるのは荒涼とした十万坪の冬景色。本揃物における「名所」が、従来とは異なる基準で選定されていることを強く印象付ける1枚です。雪原の中には、木々に混じって木場の材木が立ち並んでいるのが分かります。