展覧会の詳細
広重と英泉という幕末を代表する二人の絵師が、江戸と京都を結ぶ二大幹線の一つ、中山道を舞台とした揃物を手掛けたのは、天保6~9年(1835-38)のことです。天保2年(1831)に《東都名所》(通称一幽斎がき東都名所)で風景画の絵師として知られるようになった広重は、天保4年(1833)に発表した《東海道五拾三次之内》(通称保永堂版)の大当たりによって、一躍その名を世に広めました。東海道の次は中山道を。当時の旅行ブームとも相まって、庶民のニーズを満たそうと中山道を描いた揃物の刊行を計画したのは、《東海道五拾三次之内》の版元でもある保永堂・竹内孫八です。その後錦樹堂へと版権を移行させながらも、69の宿場と起点の日本橋を含めた計70ヵ所を描いた大作《木曽海道六拾九次之内》が刊行されることとなりました。
今回は上記揃物の他、広重の名を受け継いだ二人の絵師の作品も出陳いたします。「風景画の広重」が弟子たちによってどのように継承されていったのか。ぜひ皆さま自身の目で、ご堪能いただければと思います。
会期 | 2019年8月22日(木曜日)から9月23日(月曜・祝日) 休館日:毎週月曜日(祝日を除く)、祝日の翌日(土・日・祝日を除く) ※9月16日、23日は祝日のため開館、9月17日は祝翌日のため休館いたします。 |
場所 | 展示室1・展示室2(1・2階) |
開館時間 | 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで) |
観覧料 | 大人820円(660円) ※( )内は20名以上の団体料金 ▲18歳以下無料 ▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料 ▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料) |
関連イベント | □学芸員による作品ガイド 日時:9月1日(日) 午前10時30分~(30分~1時間程度) 場所:展示室1・展示室2(1・2階) □木曽海道・旅人探しクイズ 日時:随時 《木曽海道六拾九次之内》に登場する旅人たちを探しながら作品鑑賞をお楽しみいただけます。 全問正解の方には当館オリジナル旅人シールをプレゼント。 □解説ボランティア幽遊会による作品ガイド 日時:随時(要事前予約) |
特別展観「木曽海道六拾九次之内」より
今月の陳列棚
歌川広重
「木曽海道六拾九次之内 大井」
大判錦絵 天保7~8年(1836-37)頃
中山道広重美術館蔵(田中コレクション)
大井宿は現在の恵那市東部にあたります。本図は、中津川宿から大井宿に至る途中の甚平坂付近を描いたものを考えられますが、宿場の西側、西行坂を上り十三峠へと続く道中を描いたという説もあります。雪降りしきる中、旅人は黙々と歩み続けます。背景は鼠色の潰しに墨色のぼかしを施し、静寂の銀世界を描き出します。右の松越しに見えているのは恵那山、左は木曽山系の山々です。