浮世絵グルメツアー

旅先では、その土地ならではの「名物」を楽しみたいもの。風光明媚で由緒ある名所旧跡に、土産として持ち帰りたい工芸品、そして美味しいご当地グルメ。車や電車のない時代を生きる江戸っ子たちにとっては、京への長旅のみならず江戸市中を移動するだけでも、ちょっとした非日常を体験できる小旅行でした。
本展では、現在の関東から九州まで日本各地を主題とする浮世絵を出品し、画中に描かれたご当地グルメを取り上げます。また、文化7年(1810)に出版された『旅行用心集』より、江戸時代における旅の心得も併せてご紹介します。道中の厄除けや開運にご利益のある存在として同書に登場する神獣・白澤(ハクタク)と共に、全国のご当地グルメツアーへ出かけましょう。

会 期2024年6月20日(木曜日)から7月21日(日曜日)
休館日毎週月曜日(ただし7月15日は除く)、7月16日(火曜日)
(6月24日、7月1・8・16日)
場 所展示室1(1階)
開館時間午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料大人520円(420円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週水曜日はフリーウエンズデー(観覧無料)
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
関連イベント■学芸員による作品ガイド
 日時:2024年7月7日(日曜日) 午前10時30分~(30分程度)
 場所:展示室1(1階)
■美術館ボランティア幽遊会による概要説明
 日時:随時(要事前予約)
浮世絵を通した全国各地のご当地グルメツアー

浮世絵――とりわけ各地を主題とする名所絵には、その地を代表する名産品や名物など、ご当地グルメが紹介されていることがあります。本展では、歌川広重による名所絵を中心に出品し、現在の関東から中部、近畿、そして四国や九州まで、日本各地のご当地グルメツアーへご案内します。

歌川広重「東海道五拾三次之内 鞠子 名物茶店」
中山道広重美術館蔵
歌川広重「東海道五十三次之内 四日市 参宮道追分之図」
中山道広重美術館蔵(田中コレクション)
江戸時代の旅行ガイド『旅行用心集』を紹介

文化7年(1810)に出版された『旅行用心集』は、著者の八隅蘆庵が自身の旅行経験を踏まえ、その心得やアクシデント時の対処法などを解説した手引書。本展では、浮世絵とともに『旅行用心集』で解説された旅の極意をご紹介します。

八隅蘆菴『旅行用心集 全』
中山道広重美術館蔵(田中コレクション)
『旅行用心集』のハクタクがツアーガイドとしてご案内

本展のツアーガイドを務める白澤(ハクタク)は、人語を解し、森羅万象に通ずる神獣です。『旅行用心集』では、牛のような体に、人面のような容貌と複数の角を有する姿で描かれています。著者の八隅蘆菴は、この白澤の図を懐に入れておけば、あらゆる災厄や病気を免れ、幸運を招くなどあまたのご利益があるため、旅中は最も敬うべきであると解説しています。