出版190年記念 渓斎英泉・歌川広重 木曽海道六拾九次之内―摺り違いの愉しみ―

出版190年記念 渓斎英泉・歌川広重
木曽海道六拾九次之内―摺り違いの愉しみ―

18年ぶり全点公開&徹底比較!
渓斎英泉と歌川広重による「木曽海道六拾九次之内」は、木曽街道(中山道の異称)を主題とする70枚揃のシリーズです。出版開始から190年を記念する本展では、当館所蔵の「木曽海道六拾九次之内」を2007年以来となる18年ぶりに全点公開。計192点を3期にわたり宿場ごとに出陳し、増し摺りに伴う多様なバリエーションや異版(変わり図)など、出版時期によって異なる摺りの表現を徹底比較します。浮世絵鑑賞のディープな視点から、「摺り違い」を見比べる愉しみをご提案する展覧会です。
また、館蔵「木曽海道六拾九次之内」192点のうち121点は、恵那市の実業家・田中春雄氏(1919-2012)からご寄贈を受けた作品群「田中コレクション」に属しています。本展では、「木曽海道六拾九次之内」以外の「田中コレクション」の名品も各期15点程度展示し、旧蔵者である田中氏の功績をご紹介します。

  • チラシ
  • 作品リスト【前】【中】【後】
  • 学芸員による作品解説 ※恵那市公式YouTube
会 期2025年8月28日(木曜日)から12月7日(日曜日)
 【前期:日本橋~追分】8月28日(木曜日)から9月28日(日曜日)
 【中期:小田井~落合】10月2日(木曜日)から11月3日(月曜日・祝日)
 【後期:中津
大津】11月7日(金曜日)から12月7日(日曜日)
※前・中・後期で全点展示替えいたします
休館日毎週月曜日(ただし9月15日、10月13日、11月3日、24日は除く)、9月16日(火)、24日(水)、10月14日(火)、11月25日(火)、展示替え期間(9月29日(月)から10月1日(水)、11月4日(火)から6日(木))
場 所展示室1、2(1、2階)
開館時間午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料一般820円(660円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週水曜日はフリーウエンズデー(観覧無料)
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
関連イベント■木曽海道〈おじさん〉探しクイズ
 日時:随時(出品作品中の登場人物をワークシートで出題)
 場所:展示室1、2(1、2階)
■学芸員による作品ガイド
 日時:【前期】9月14日(日曜日) 【中期】10月12日(日曜日) 
 【後期】11月16日(日曜日) 各日午前10時30分~(40分程度)
 場所:展示室1、2(1、2階)
「木曽海道六拾九次之内」とは

天保6~9年(1835-38)頃に制作・出版された「木曽海道六拾九次之内」は、起点・日本橋と中山道69宿の各地を主題とする浮世絵風景画シリーズです。渓斎英泉が24図を描いた後、作画を引き継いだ歌川広重が47図(「中津川」の異版を含む)を手掛けており、結果的に合作となっています。当館は、田中コレクション「木曽海道六拾九次之内」71点を例年秋に展観しています。

浮世絵版画の「摺り違い」とは

流行の変遷が目まぐるしい役者絵や美人画とは異なり、風景画は長期的な販売が可能でした。英泉と広重による「木曽海道六拾九次之内」も、版元を変えながら嘉永元年(1848)以降まで増し摺りが続けられました。そのため、同じ図柄でも、配色や技法など摺りの違いによって全く異なる印象の作品が複数存在します。当館では、「木曽海道六拾九次之内」を計192点(田中コレクション121点、2003年度収蔵作品70点、2022年度収蔵作品1点)所蔵しています。

歌川広重「木曽海道六拾九次之内 須原」(初摺)[中期出品]当館蔵
歌川広重「木曽海道六拾九次之内 須原」(後摺)[中期出品]当館蔵
各期の見どころ

前期:8月28日(木曜日)~9月28日(日曜日)

渓斎英泉・歌川広重 木曽海道六拾九次之内:中山道の起点・日本橋(現・東京都中央区)から追分宿(現・長野県北佐久郡軽井沢町)までを出陳。英泉作品の割合が多く、水墨画を彷彿とさせる緻密な風景描写や生き生きとした人物描写をお楽しみいただけます。

渓斎英泉「木曽街道続ノ一 日本橋雪之曙」当館蔵
歌川広重「木曽海道六拾九次之内 軽井沢」当館蔵

田中コレクション浮世絵名品選:東海道の宿場町や桜の名所など、広重による風景画の名品を展示します。また、当館は、田中氏の悲願を受け継ぎ開館以来収集を目指してきた「雪月花三部作」を、2024年度にコンプリートいたしました。広重の最晩年の画業を代表する三部作を、初めてそろいで公開いたします。

歌川広重「木曽路之山川」(雪)当館蔵
歌川広重「武陽金沢八勝夜景」(月)当館蔵
歌川広重「阿波鳴門之風景」(花)当館蔵※初公開

2024年度収蔵「阿波鳴門之風景」は、本展が初公開です。注目ポイントは、画面右の水平線。現存作品の多くにはこの水平線が無く、当館所蔵作品は希少な最初期の摺りであると考えられています。

【中期:10月2日(木曜日)~11月3日(月曜日・祝日)】

渓斎英泉・歌川広重 木曽海道六拾九次之内:小田井宿(現・長野県北佐久郡御代田町)から落合宿(現・岐阜県中津川市)までを出陳。急峻な木曽谷地域を通る木曽路11宿(贄川宿~馬籠宿)を含んでおり、自然豊かな山間の風景美が見どころです。

歌川広重「木曽海道六拾九次之内 洗馬」当館蔵
渓斎英泉「木曽路駅 野尻 伊奈川橋遠景」当館蔵

田中コレクション浮世絵名品選:「田中コレクション」は、「歌川広重」と「中山道」を二大テーマに形成されました。田中氏がこだわりをもって収集された、中山道や岐阜にゆかりのある作品を展示します。

歌川広重「六十余州名所図会 美濃 養老ノ滝」当館蔵
川瀬巴水「旅みやげ 第三集 木曽川蓬来岩」当館蔵

【後期:11月7日(金曜日)~12月7日(日曜日)】

渓斎英泉・歌川広重 木曽海道六拾九次之内:中津川宿(現・岐阜県中津川市)から大津宿(現・滋賀県大津市)までを出陳。広重作品の割合が多く、旅心を誘う穏やかな風景描写が特長です。中でも、希少な「雨の中津川」や当館周辺地域を描いた雪の「大井」は必見です。

歌川広重「木曽海道六拾九次之内 中津川」当館蔵
歌川広重「木曽海道六拾九次之内 大井」当館蔵

田中コレクション浮世絵名品選:四季折々の風情や美しい摺り色が魅力の名所絵および花鳥画を展示します。田中氏の確かな審美眼による、選りすぐりの名品をご堪能下さい。

歌川広重「京都名所之内 あらし山満花」当館蔵
歌川広重「近江八景之内 比良暮雪」当館蔵
歌川広重「(魚づくし あゆ)」当館蔵