中山道広重美術館 Hiroshige Museum of Art, Ena

木曽海道六拾九次之内

展覧会の詳細

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 「東海道五拾三次之内」(保永堂版)の成功を受けた版元・竹内孫八は、東海道と並ぶ基幹街道である中山道をテーマとした「木曽海道六拾九次之内」を企画しました。渓斎英泉と歌川広重、二人の絵師の手になる本揃物は、全70図(ただし「中津川」は絵柄の異なる2種類が確認されているので、全体では71図が存在)のうち英泉が24図を、広重が46図を担当しました。天保6年(1835)頃から刊行が始まり、絵師の交代や版元の交代などの紆余曲折を経て、天保9年(1838)頃に完結したと考えられています。
 風光明媚な東海道とは異なり山がちな中山道を、英泉や広重はさまざまな季節、天候、時間の中で情感豊かに描き出しました。本展では、当館の誇る「田中コレクション」をはじめ、美しき中山道を描いた作品をご紹介します。


会 期
2022年9月1日(木曜日)から10月2日(日曜日)
休館日:毎週月曜日(ただし9月19日(月・祝)は開館)、9月20日(火)
場 所
展示室1・2(1・2階)
開館時間 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料 大人820円(660円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週水曜日はフリーウエンズデー(観覧無料)
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
関連イベント □学芸員による作品ガイド
 日時:9月4日(日)午前10時30分~(40分程度)
 場所:展示室1・2(1・2階)
□解説ボランティア幽遊会による作品ガイド
 日時:随時(要事前予約)


今月の陳列棚

特別展観「木曽海道六拾九次之内」より

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歌川広重「木曽海道六拾九次之内 須原」

大判錦絵 天保7~8年(1836ー37)頃 当館蔵(田中コレクション)

 にわかに空がかき曇り、突如雨が降り出しました。一足先に辻堂で雨宿りをする六部や虚無僧に続いて、商売道具で頭を覆った駕籠かきたちも駆け込みます。柱に何か書きつけている旅人の姿も見えます。広重は驟雨に慌てふためく人々の一瞬を切り取り、道中のハプニングを活写しました。雨脚は、薄墨の上に胡粉を重ねる凝りようです。地面に施された藍のぼかしは、水気を含んだ空気感を巧みに表現しています。