中山道広重美術館 Hiroshige Museum of Art, Ena

広重円熟期の画業

展覧会の詳細

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 天保4年 (1833)頃の出世作「東海道五拾三次之内」(通称「保永堂版」)で一躍有名となった歌川広重は、その後も名所絵や街道絵などの風景画だけでなく、美人画、張交絵、戯画、絵本など、幅広い画域で筆を振るいました。本展では、広重が円熟期を迎えた嘉永年間(1848-54)の作品を中心にご紹介いたします。
 嘉永年間は、天保の改革に伴う出版統制が緩和され始めた時期でした。株仲間が再結成されると、版元らによる大規模な揃物の出版が相次ぎます。そうした浮世絵出版再興隆の時勢も相まって、この頃の広重は精力的に活動し、数多くの作品を手掛けました。嘉永6年(1853)には、『江戸寿那古細撰記』の浮世絵師番付に「豊国にかほ(似顔) 国芳むしや(武者) 広重めいしよ(名所)」と評され、三代豊国や国芳に次いで3番目に位置しています。人気絵師として老成した円熟期ならではの趣のある、軽妙な筆遣いや構図の妙をお楽しみください。


会 期
2022年1月20日(木曜日)から2月20日(日曜日)
休館日:毎週月曜日
場 所
展示室1(1階)
開館時間 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料 大人520円(420円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
関連イベント 学芸員による作品ガイド
前期…2月6日(日曜日)
午前10時30分から30分程度(予定)


今月の陳列棚

企画展「広重円熟期の画業-錦絵から絵本まで-」より

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歌川広重「東海道 五 五十三次 程か谷」 (隷書版)

大判錦絵 弘化4~嘉永5年(1847-52) 当館蔵

 広重は、生涯にわたって東海道を主題とした作品を20種類以上手掛けています。その一つである本作は、標題が隷書体で書かれていることから「隷書版」と称されているシリーズです。本図は、起点・日本橋から数えて五つ目の宿場に当たる保土ヶ谷(現・神奈川県横浜市保土ケ谷区)を描いた1枚。帷子川に架かる帷子橋を渡り、旅人たちは宿場町へ向かいます。一面雪に覆われた銀世界と、川の鮮明な藍色が美しいコントラストを成しています。ねずみ色の曇天には「板目摺」が用いられており、版木の木目が浮かび上がっています。