中山道広重美術館 Hiroshige Museum of Art, Ena

新版画展-浮世絵版画のその後 -巴水・古邨・深水を中心に-

展覧会の詳細

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会期
2019年9月27日(金曜日)から12月8日(日曜日)
 前期……9月27日(金曜日)から10月27日(日曜日)
 後期……10月31日(木曜日)から12月8日(日曜日)
休館日:毎週月曜日(祝日を除く)、祝日の翌日(土・日・祝日を除く)
※10月14日、11月4日は祝日のため開館、10月15・23日、11月5日は祝翌日のため休館いたします。
 10月28・29・30日は展示替えのため休館いたします。
場所
展示室1・展示室2(1・2階)
開館時間 午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料 大人820円(660円) ※(  )内は20名以上の団体料金
▲18歳以下無料
▲障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名まで無料
▲毎週金曜日はフリーフライデー(観覧無料)
関連イベント □学芸員による作品ガイド
 日時:【前期】10月6日(日) 【後期】11月3日(日) 午前10時30分~(30分~1時間程度)
 場所:展示室1・展示室2(1・2階)


 鈴木春信によって創始されたといわれる錦絵は、明治に突入してもなお、制作され続けていました。一方で、石版や銅版などが普及し、さらには新聞や写真といった新しいメディアが登場します。写実性や速報性に優れたこれらによって浮世絵は生命を脅かされ、日露戦争(1904-05)以降、急速に衰退します。
 そのような状況下、浮世絵の復興を目指した美術商・渡邊庄三郎(1885-1962)が誕生させたのが、「新版画」と呼ばれる多色摺の木版画です。新版画の特徴は何といってもその美しさにあります。とりわけ、木版で摺り重ねることで表現できる深みのある色合いは、新版画ならでは。写真のような極めてリアルな描写でありながらも、写真では表せない温かみが伝わってきます。広重の作品に通ずる構図の捉え方なども見出すことができる新版画には、新しさと共に懐かしさも感じられます。
 本展覧会では、(株)ステップ・イーストに企画協力を賜り、そして(株)渡邊木版美術画舗に貴重な作品を多数お貸出しいただきます。浮世絵が近代に残した木版の伝統美をお楽しみください。

「新版画展」作品リスト

今月の陳列棚

秋季特別企画展「新版画展-浮世絵版画のその後」より

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川瀬巴水
「日本橋 夜明」

木版多色摺 36.5×24.1(cm) 昭和15年(1940) 
渡邊木版美術画舗蔵

 文化の中心地である東京は、江戸時代の浮世絵と変わらず、新版画でも人気のモティーフでした。しかし、浮世絵に描かれたにぎやかな日本橋とは異なり、静けさに包まれる本図は純粋な風景画といえます。川の水面には日本橋や街灯が映し出され、空に浮かぶ雲は朝日の光を浴びてほんのりと色づきます。画面全体を鮮やかな青の濃淡で彩色することで、朝ぼらけの様子を表しているようです。かつて東海道や中山道の起点であった日本橋は、巴水によって写真のようなリアリティを持ちながらも、叙情的に描き出されました。