展覧会の詳細
歌手・女優としてはもちろん、木版画家としても活躍しているジュディ・オングさん(雅号ジュディ・オング倩玉)の木版画の世界と歌川広重《名所江戸百景》が時を超えて出会います。
ジュディ・オング倩玉さんの作品テーマは一貫して「日本家屋」と「花」。日本全国の旧家や神社仏閣を自ら取材し、大胆な構図と木版画ならではの力強い線、緻密な彫り、めりはりの利いた色のコントラストが印象的です。
次々と発表される作品は高い評価を得ており、1983年、国内最大の公募展・日展(現改組新日展)に出品した「冬の陽」が初入選したのを皮切りに、現在まで多数入選を果たしています。また、2005年には「紅楼依緑」が特選を受賞するなど輝かしい実績を残しています。
絶妙な構図の取り方やはっと目を引く色使い、表情豊かな季節の表現など、両者の作品を見比べながら、それぞれの作品の魅力をお楽しみください。
会期 | 2015年10月1日(木)~12月6日(日) 【前期】2015年10月1日(木)~11月3日(火・祝) 【後期】2015年11月7日(土)~12月6日(日) 休館日:毎週月曜日(10月12日、11月2日、11月23日は開館)、祝翌日11月4日(水)~6日(金)は展示替えのため休館(ジュディ・オング倩玉さんの作品の展示替えはありません) |
場所 | 展示室1、2(1F、2F) |
開館時間 | 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
観覧料 | 大人820円(660円) ※( )内は20名以上の団体料金 高校生以下無料 |
今月の陳列棚
秋季特別企画展-ジュディ・オング倩玉 木版画展 美の架け橋 広重・江戸百景との競演-より
ジュディ・オング倩玉「華燈翠園」
2011年 第43回日展入選
歌川広重《名所江戸百景》「浅草金龍山」 安政3年(1856)7月 当館蔵
「華燈翠園」
日本三大遊郭のひとつ、長崎の丸山にある料亭「花月」を題材とした作品です。花月は江戸から幕末、明治にかけて長崎を舞台に活躍した国際人の社交場であり、文人墨客も数多く訪れました。玄関の大提灯は下半分のみ描かれ、その大きさと迫力が際立ちます。また、玄関の内側から石畳を見通す構図と、玄関の内と外とで異なる光の加減の妙が、画面に奥行きを感じさせます。
《名所江戸百景》「浅草金龍山」
浅草寺の雪景を描いた作品です。画面右上には大提灯が下半分を見せ、左端に雷門の一部、下方に敷石を配し、画面を縁取ります。ちょうど門から浅草寺に向かって進む時に見えるであろう風景を意識した構図が、臨場感を与えています。本来であれば朱色である大提灯は、後摺である本図では灰色に変わっています。